大会長挨拶

第20回日本緩和医療学会学術大会開催にあたって

大会長 髙宮有介

大会長 髙宮有介(昭和大学医学部)

 このたび、第20回日本緩和医療学会学術大会の大会長を拝命いたしました。記念すべき第20回大会をお世話させて頂くことは、誠に光栄に存じます。日本緩和医療学会は、会員が1万1千人を超える学術団体であり、来年は20年の節目を迎え、成人式とも言えます。

 今回の大会のメインテーマは、「夢をかなえる~この20年、そして、あしたへ~」としました。医療者として、かなった夢もあれば、かなわなかった夢もあろうかと思います。患者さん、ご家族のささやかな夢もかなったかもしれないし、かなわなかったかもしれない。そんな時代を想いながら、あしたへ向かって、再び、夢を抱いて進んで行こうというメッセージです。

 ポスターは、「夢をかなえる」のイメージを絵本作家の葉祥明氏に伝え、描き下ろして頂きました。虹が夢を表現し、世界に発信しています。群れをなして飛ぶかもめが20年のときの経過を比喩し、ヨットと青い海が会場の横浜を表しています。

 今大会より会期は正式に3日間となりますが、プログラム構成は、教育セミナーを含め、検討中であります。多職種が集い、多くの領域を網羅する本学会の特徴を十分に活かすため、前回の第19回よりスタートしている組織委員会を継続して、学術集会の企画・運営を実施して参ります。組織委員長は、前回と同様に木澤義之先生にお願いしました。さらに内容をバージョンアップし、また、前回、実施できなかった項目についても積極的に取り上げていきたいと考えております。

 組織委員会の下に 6領域の学術分野を担当するワーキンググループ(WG)が設置されております。6領域は、「痛み」「痛み以外の身体症状・治療」「精神・心理・社会的ケア・倫理的問題」「チーム医療・緩和ケアデリバリー」「地域・在宅緩和ケアと特定集団に対する緩和ケア」「教育・啓発・研究・概念」です。各WGで各担当領域において十分に企画案を検討し、これを組織委員会での全体審議に諮り決定するというシステムです。これに会長企画を加え、学術プログラムと致します。

 20年を振り返り、行く先を考える時、ある言葉を思い出します。それは、「守破離(しゅはり)」です。私は幼少時から剣道をやって参りましたが、武道の修行の中で常に耳にする教えです。「守」は、師についてその流儀を習い、その流儀を守って励むこと、「破」は、 師の流儀を極めた後に他流をも研究すること、「離」は、自己の研究を集大成し、独自の境地を拓いて一流派を編み出すこととされています。創成期に海外から学び取り入れた緩和ケアを、海外の知見や先進的な取り組みを吸収しつつ、わが国独自の緩和ケアを確立していく時期だと考えます。20年を顧みながら、次の10年、20年に向かっての方向性を見定める大会にしたいと願っております。

 皆様が、第20回大会に参加することにより、新たな夢と勇気を持ち、次のステージに進める機会にしたいと考えております。皆様の力を集結することにより、大会を盛り上げて頂ければ幸いです。横浜で、多くのお顔と出会えることを楽しみにしております。

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